広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
「…あ、そういえば和花。ちょっと噂できいたんだけど」

「え?」

「和花、広瀬くんとふたりでお昼ごはん食べたの?」

「ぶっ!!!」

思わぬつっこみに少しむせてしまった。

「……その反応は、なにか思い当たることがあるんでしょ。なに、いつの間にかそんな仲良くなっていたの?」

「え、いやー……」

そうか。

考えてみれば中庭には人がいたし、通りかかったりする子たちもいるだろうし

誰も注目してこないから大丈夫なんて呑気なこと考えていたけど、そりゃあ噂になっても仕方ないのかもしれない。

「和花ー?あなたもしかして本当に広瀬くんと……」

「わ、ち、違うよー」

……どうしようかな。

広瀬くんは自分が料理を作っていること、少し恥ずかしそうにしていたし。

勝手に詳しく言わない方がいいよね。

「えと、一人で食べていたら偶然広瀬くんも通りかかって一緒に食べることになったんだよー。ほんと、偶然。特になにもないからねー」

「ふーん……」

じっと私を見つめる弥生。

でも納得したのか『そっか』と小さく頷くと、野菜ラーメンをすすった。

「まあ、もし広瀬くんとお付き合い始めたーなんてことになったら、あたしがなにも知らないはずはないか」

「う、うん。たぶんそういうことにはならない気がするけどー」

今の私たちはあくまでご飯友達って感じだし。

「でもさ和花、気を付けてね。広瀬くんモテるからさ。結構この噂でもショックを受けている子いるっぽいよ」

「え」

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