広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
そうこうしているうちに料理は順調に進行し、いよいよ餃子作りのクライマックス(?)包む作業になった。


「じゃあ、今から皮に具を包んでいきましょう。今日はせっかくですので、普通の餃子に加え、色々なアレンジ具材を包んでみたいと思います!」


お父さんがそう言いながら、様々な食材を並べていく。

えびや大葉といった割と定番のものもあれば、キムチやチーズ、明太子……更には納豆やアボカドやパクチーやチョコレートまで……とにかくバラエティーにとんでいる。

これを餃子に……

わあ、楽しそう。美味しそう。

もうお腹が鳴っちゃいそうだよ。


「自由に包んでみてください。シンプルにするのもいいですし、色んな食材を組み合わせるのも楽しいと思います。個人的にはどの食材も餃子にすると美味しいと思いますが、組み合わせによっては思わぬ味になるかもしれませんね」


みんな和気あいあいと餃子を包んでいく。

えびと大葉といった王道のものから、納豆にチーズみたいにちょっと冒険したものまで、たくさんの餃子がテーブルに並んでいった。

私も自分が食べたいものを直感的に選んで包んでいく。


「次はえびとアボカドにしてみようかなあ。お寿司のえびアボカド美味しいし。あ、食べるときにマヨネーズつけてみたら合うかもー」

「すごいね、日下部さん!たくさん思い付いて」


広瀬くんが私の隣で感心したような声をあげる。


「えー、思い付くっていうほどじゃないよー。適当に食べたいものを入れているだけでー」


ふと見ると、広瀬くんはどうやら悩み中みたいだ。

あまり包む作業が進んでいない。


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