広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
思わず大きい声が出てしまう。
広瀬くんから誘われるなんて予想してなかった。
たしかに最近彼との接点は増えたけれど、どちらかと言えばみんなに内緒……みたいな感じだし。

それに……広瀬くんなら一緒のグループになりたいって子は多いだろうに。

「だめかな?一応………このメンバーだけど」

少し遠慮がちにうかがってくる広瀬くんの後ろには、向坂《さきさか》くんと長森《ながもり》くん。
二人とも話しやすくてイケメン。クラスの人気者タイプだ。
わわわ。
この顔ぶれだと、むしろこっちが気後れしちゃうよ。

「え、えーと……」

ついつい助けを求めるように弥生の方を見てしまう。
すると弥生は驚きも戸惑いも見せず「あたしはいいわよ」と、アッサリうなずいた。

「あたしたちも班のメンバーも探していたからちょうど良かったわ。ね、和花」
「え、あ、う、うん……!」
「ほんと?それじゃあ同じ班ってことでいいかい?」
「あ、う、うん‥‥!」

ほぼ条件反射のようにうなずいてしまう。
すると広瀬くんは安心したみたいに、少しふにゃっとした笑顔を浮かべた。
もしかして緊張していたのかな。

「ありがとう、日下部さん、小泉《こいずみ》さん。よろしくね」
「う、うん。よろしく」

向坂くんと長森くんも口々に「よろしく」と笑いかけてきた。
特に長森くんはなぜか「ありがとう」と握手までしてくれた。

な、なんなんだろう。
< 65 / 74 >

この作品をシェア

pagetop