広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
「わあ!お店のクレープみたい!最高にかわいいー」

早速パクリ!
生クリームとバナナのコクのある甘みを、チョコのちょっとビターな甘さが引き締める。
ナッツのカリカリした食感が心地いい。

「おいっしー!幸せー!」
「チョコバナナはやっぱり間違いないよね。……わたしはイチゴと生クリーム……あとジャムも入れてみよう」
「あ、そうだ。アイスも出さなきゃ!冷凍庫からとってくるね」
「しょっぱい具も用意したら良かったねー。ハムとか卵とか」

美味しいクレープと和やかな雰囲気。
少し疲れていた気持ちもうきあがっていく。

昔から私はそうしてきた。
疲れたとき、落ち込んだとき。
美味しい料理に励まされてきた。

きっとそれはこれからも変わらないのだろう。


「……あ、ねえ。そういえば和花。修学旅行の班決まった?」

隣でキウイのクレープを食べている由美《ゆみ》が話しかけてきた。
由美は一年のときのクラスメイトで、そのときからの友達。
その頃は由美と弥生の三人でよく行動していた。
二年になってクラスは別れたけれど、同好会も同じだし、変わらず仲良しだ。

「うん。もう決まった。弥生と一緒だよー。あと、クラス委員の更級さん」
「更級さんって、あのめちゃ可愛い子?仲良かったの?」
「うーん……正直あんまり話したことなかったんだけどー、いろいろあって」
「ふーん……」

かすかに口を尖らせるような仕草を見せる由美。
なにか言いたげな様子に感じた。
< 71 / 74 >

この作品をシェア

pagetop