私の恋のヒーローは
この男の家庭事情がまるで分からない。
そこまでして何故、この男は
あの物悲しいだだっ広い空間に
住み続けたいのだろうか。
妹の事を可愛がるこの男は
何故、妹と離れる事を選んだのだろうか。
絆「何故、あの家にこだわる?
お前は妹が大事なんだろ?
母親と3人で暮らす方が幸せに
なれるんじゃないのか?」
恭斗「自分の幸せを選ぶ事で
不幸になる人がいる事を
知っているのに選べないだろ。
俺は1人の寂しさを知っている。
お前も...そうだろ?」
絆「お前がいなくなれば
父親が不幸になるのか?
でも、父親はお前が家にいる事を
あまり良く思ってないんだろ?」
恭斗「お前もあの家に住めば分かるよ。
俺を支配し、価値観を植え付ける事で
あの人は生かされている。
俺がいなくなったら、多分あの人死ぬよ。」
少しだけ、怖くなった。
降谷 恭斗という男の事が。
この男に感じた初めての感情だった。