ただひたすらに君が好きだ
はたっとその大きな瞳が俺を捉える。

そしてまだ余力があるのか俺のところまで走ってきた。



「はーるーーーー!!見てた!?」

「おーおーまた猿みが増したんじゃねぇか?」

「んだとコラァ!!!?」


頬を膨らませるが機嫌は良いらしい。すぐに満面の笑顔。


「それより、こっち来て大丈夫か?」

「へーき。もう休憩だから」


彼女は近くのベンチにはーどっこいしょと言いながら座る。オッサンかよ。

珱は俺、柊木 晴(ひいらぎ はる)の幼馴染。付き合いは長く、兄妹同然に育ってきた。


ただの幼馴染、珱にとってはそうだろう。でも俺は…


「もうじきインターハイだなぁ」

「俺は夏休みだ」

「ご予定は」

「……」

「まだ友達できないっすかお兄さん」

「うるせぇ。みんな部活あんだよ」

「なら来てよ。大会。私の高校デビュー戦」


今年入学したにもかかわらずレギュラーなのだ。珱は。


「まぁ、暇だしな」

「やったね!」


にかっと笑い俺の腰辺りをバンバン叩いてくる。痛いから。


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