君が可愛すぎるから
こういうことをさらっと言わないでほしい。
すごく心臓に悪いから。
一瞬だけ胸がキュッと縮まって、
ドキッとしてしまったのは凪くんには絶対に秘密。
凪くんは、いつも必ずと言っていいくらい、
毎朝この時間の電車に乗るんだ。
だから、わたしもその時間に合わせていつも家を出ている。
少しでも凪くんと一緒にいる時間を増やしたいと思うから。
毎朝、ほんの少しの時間だけでも話すことができて、朝いちばん初めに顔を合わせることができて。
ささいなことだけど、密かに凪くんに片想いをしているわたしにとっては、一緒にいる時間がとても大切だったりする。
「有栖ちゃん」
「ん?」
下を向いてボケッとしていたら、凪くんに名前を呼ばれたのでパッと顔を上げた。