君が可愛すぎるから



「ちょっと動かないで」


凪くんの綺麗な指先がわたしの前髪にそっと触れた。


いきなりのことにびっくりして、思わずギュッと目を閉じてしまった。


凪くんに触れられたってわかってしまったら、胸の音が騒がしくなる。



ドキドキして、恥ずかしいから早く離れてほしいと思う自分と、

もう少しだけ凪くんを近くで感じていたいと思う欲張りな自分の両方が心の中にいる。



「……ん、とれたよ」

「へ……?」


「髪にゴミついてた」



閉じていた目をそっと開けると、
凪くんの指に小さな糸くずが。


電車に乗る前にチェックしたのに……!


心の中でガックシ落ち込む。


そして、気づけば電車はわたしが乗った駅から二駅過ぎて、人の混み具合も少し収まってきた。


学校がある駅に着くまであと三駅。

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