やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
Prologue
幼稚園の頃の朋世は背が低くて性格も内気。
『ともよのチービ!悔しかったら取り返してみろよ!』
自分より身体の大きな男の子にお気に入りの髪飾りを取られても“返して”の一言が言えずにいつもいじめられていた。
何もできずに泣いてばかり。
『ともよの泣き虫!弱虫がうつるぞぉ、逃げろぉ!』
男の子たちは朋世の髪飾りを乱暴に握ったまま園内を走り回る。
『返せよ!』
一人の男の子がいじめっ子に飛びかかって朋世の髪飾りを取り返した。
はしゃぐいじめっ子たちにいつも立ち向かっていたのは朋世じゃない。
同じクラスの菅田 要君だった。
『これはトモの物だ!トモを泣かせる奴は俺が許さない!』
要は幼いながらも立派に啖呵を切る。
朋世はその背中にいつもいつも守られていた。
紛れもなく、彼がヒーローだったんだ――…
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