やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ

「……言わせないでよ。……言いたくない」

これ以上、醜くい言葉を吐きたくない。

その姿をさらしたくない。

心がぐちゃぐちゃのまま吐き捨てた言葉に後からきっと後悔する。

「だったら、好きなだけ泣けよ」

「泣き顔変だもん……」

「今更か……」

目の前でずっと涙を見せておいて泣き顔を気にするところはやっぱり女の子。

そんな彼女がなんだがとても愛おしくて、男子高生は抱きしめる腕に少し力を込めた。

さっきよりも二人の密着度はあがって、互いの表情も見えなくなる。

「泣き顔見ないからさ」

これは彼にできる精一杯の気遣い。

朋世は「うん……」と力なく返事をして、パンパンに詰まった感情を洗い流すように泣いた。

二人の頭上に粉雪が深々と降って、切ないクリスマスイブに溶けていった。
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