やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
「風見先輩もマジくそ野郎だったね。朋世、別れて正解だよ」
あいの慰めに、朋世は頷いて「そうだね……」と苦笑した。
“別れて正解”
冬休みの間、何度も何度も自分に言い聞かせてきた。
「“失恋の傷を癒すのは次の恋”って言うじゃん。ねぇ、誰かいい人いないの?」
あいはニヤニヤ顔を浮かべながら朋世に問いかける。前向きなところが彼女の良いところ。
「いるわけないよ」
朋世はすぐに答えた。
まだそんな気分になれないのが正直な気持ち。
“いい人いないの?”
朋世の脳裏に菅田 要の顔が浮かんだ。
「う……うわぁ!」
朋世は奇声を上げて頭をぐちゃぐちゃに掻いた。
彼女の突然の発狂にあいは「いきなり何……」と心配する。
「何でもない……」
こんなふって湧いたような気持ち、心の外には出せない。
朋世はそう返事をする他なかった。