やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
それでも、別れは突然に訪れる。
『急だけど、ご両親のお仕事の都合で要くんとはお別れになります。みんな、寂しいけど笑顔で送り出してあげましょうね』
幼稚園の先生はみんなの前でこう告げた。
園児たちは先生の言う通りに思い思いの贈り物を彼にプレゼントする。
みんなで遊んだ絵を描いたり、お手紙を渡したり、折り紙を折ったり。
犬猿の仲だったいじめっ子グループの男の子たちでさえ突然の別れに困惑し、彼との別れを小さな心で受け入れていた。
『朋世ちゃんはどうするのかな?』
先生は朋世に向けて声を掛ける。
それもそのはず。
朋世だけプレゼントも別れの言葉も何もしていないのだから。
彼と会えなくなってしまうなんてとても受け止められない。