やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
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放課後になり、朋世は担任の先生に資料作りの手伝いをさせられていた。
一日中ボーっとして授業もHRも上の空だった罰だ。
「……お疲れ様でした」
「はい、ご苦労さん」
担任は満足そうに資料をまとめ置いて朋世の事を職員室から見送った。
職員室を出て下駄箱に向かって歩く。
外で活動している様々な運動部の声が混ざって聞こえてくる。
ローファーを下駄箱から取り出し、代わりに上履きを脱いでおさめる。
今日はなんだかどっと疲れた。
家に入ってお風呂に入ってさっさと寝よう。
朋世はそう決めて重たい足取りのまま学校を後にした。
桜並木にはほど遠い、葉っぱ一枚無い桜の木が目に留まる。
桜の花でも咲いていたなら気分も少し違うのに。
できもしないことを思いながら坂道を下った。