やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
古い商店街を通り過ぎた先には街開発で整備されたオシャレなショップやマンションが立ち並んでいる。
その一角に“sitoron(シトロン)というオシャレなカフェがあった。
その店のスコーンとカフェラテが美味しくて、若奈とも何度か来店していた。
色鮮やかな思い出が、ブラックコーヒーみたいに苦い思い出になってしまった。
思い出したくない光景が蘇ってしまう前に早々に立ち去ろうとする。
しかし、朋世は大きなガラス窓から見える人物に目を疑った。
「なっ……何でよ……!」
店内で仲睦ましそうに会話をしていたのは若奈と要だった。
相手が違うだろっ!と朋世の心が叫ぶ。
ツッコミどころがありすぎて、彼女の脳内はちょっとパニックを起こしていた。