やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
その光景を隠れて見ていた朋世はたまらなくなって逃げ出した。
走って自宅まで戻り、そのまま自分の部屋へ引きこもってしまう。
「朋世、いただきもののケーキがあるわよ」
母の誘いも「いらない!」と突っぱねてしまう。
いつもなら何を差し置いてもケーキをゲットしにいくところだが、今の彼女にそんな元気は残っていなかった。
要と若奈のツーショットが朋世の頭の中をぐるぐる回り続ける。
振り払ってもしつこく現れるその光景に嫌気がさす。
そしてそのまま眠ってしまい、気付けば夕方になっていた。
「ヤバ……寝てた」
着替えていなかったせいで制服のスカートがしわしわだ。
カーテンの隙間から隣の家の窓がのぞく。
明かりがともっている。
デートを終えて要が戻ってきていた。