やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
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土曜日、天気は快晴で絶好のデート日和になった。
午前十時に水族館の前に待ち合わせ。
最後に行くのが嫌で、朋世は少し早めに待ち合わせ場所に行く。
「えっ……要君?」
そこには要の姿があった。
隣町の名門高校だとは分かっていたが、デートの相手が要であるとは想像もしていない。
彼は海外から日本に戻って今の高校に編入してまだ間もない。
こんな場所で一緒に休日を過ごせるほどの友達をすでに作っていたなんて驚きだった。
「やっぱ、お前だったか。“友だちのトモヨ”も連れて来てくれるって三宅がはしゃいでいたからまさかだと思ったんだけど……」
要はこの場所に朋世が来るかもしれないと予想していたらしい。
朋世は彼だけが分かっていたなんてなんだかズルイと感じて「“トモヨ”なんてどこにでもいそうな名前じゃない」と意地悪く言った。