やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
「だから、声が大きい……」
「ごめん……」
あいは合掌して重ねて謝罪する。
「それなら彼はフリーなのよね。ハイスペック幼なじみをゲットできるチャンスじゃない」
「えっ?」
「だから、顔良し、頭良し、おまけに幼なじみってことは親公認でしょ。完璧じゃない。逆に何が“えっ?”なのよ」
あいは指折りしながら要の良い部分を示し、何が疑問なのか分からないと首を傾げた。
確かに、彼が相手なら女子は恋をしたくなる。
実際、朋世も小さい頃は彼の事が大好きで、引っ越しでの別れがこの世の終わりと言わんばかりに悲しかった。恋をしていたのだと思う。
『俺が好きなのは昔からトモだけだから』
春休み前に言った要の一言とキスの感触を朋世は思い出してしまう。