やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
あれはあの場にたまたま居合わせた女が自分だったというだけの話。
きっと若奈以外の女の子なら誰でも良かったはず。
鵜呑みにしてはいけないと、朋世は首を振ってあの日の事を振り払った。
「いやいや、どう見てもアタシと要君じゃ釣り合わないでしょ。仮に、親公認だったとしてもカバーしきれないから。
クリスマスに彼氏にフラれる女と彼氏持ちの女の子をも魅了してしまうモテ男子……月とスッポンもいいところ」
「それ……自分で言って悲しくなんない?」
あいは可哀想な捨て犬でも見るような同情した眼差しで問いかける。
彼女の言う通り。朋世は乾いた笑みを浮かべて「そうだね……」と答えた。
そんな朋世に対してあいは背筋を伸ばせと軽く背中を叩く。
「まぁ、色々あるけど今日を楽しみなよ」
そう言って、彼女は要や三宅がいる大水槽へ近づいていった。