やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
「どうして急に別れようなんて……。この間もイルミネーション一緒に見に行ったし、二人で“毎年見に行こうね”って言ったし……」
「それは、なんとなくそんな雰囲気だっただろ。それぐらい気づけよ……」
「あっ、分かった!この間の試合に持っていったお弁当に先輩の嫌いなトマト入れたから怒ってるんだ……!」
「そんなわけねぇだろ」
「だよね……」
理由が分からずに朋世の頭の中はぐちゃぐちゃだ。
甘いクリスマスなんてほど遠い。
初キスなんて夢のまた夢。
「ホント面倒臭い。若奈、もうこっち来いよ……」
風見は気怠そうに後頭部を掻いて、公園の出入り口に向かって声を掛けた。
公園のシンボルでもある大きなどんぐりの木の陰に隠れていたのは、朋世のクラスメートで友人でもある有森 若奈だった。