やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ
「若奈を許してやってくれよ」
風見は若奈の肩を優しく抱いて朋世に頼む。
あれ……これって、アタシが悪いの――…?
朋世の心の中が半紙に墨汁を垂らしたみたいにじわじわと黒く染まっていく。
泣きたいのはアタシの方だ。
もう何も言わないで……
放っておいて……
「……もういいよ」
朋世は蚊がなくような小さな声でそう呟いた。
こんな辛い現実を一秒でも早く終わらせてしまいたい。
彼女なりの精一杯の防衛本能。
「朋世も許してくれるってさ。ほら……もう行こう」
「うん……」
風見と若奈は仲良く手を繋いで朋世の前から去っていった。
ひとりぼっちで取り残された朋世の上に白い粉雪が落ちてくる。
本当なら風見と二人で過ごすはずだったホワイトクリスマス。