仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「うん。
ありがとう、俺を選んでくれて。」

俺はそう言うと、暁里の耳にキスを落とした。

「きゃ」

暁里がとっさに首をすくめるから、

「暁里かわいい。」

と笑ってしまった。

「もう!」

怒る暁里がカップを洗い終えて手を拭いていたから、俺は膝裏と脇に手を入れて、暁里を抱き上げた。

「え!?
悠貴さん?
あの!」

暁里はタオルを握ったままの手を俺の首に回す。

「しっかり掴まってて。」

俺はそのまま暁里を寝室へと運ぶ。

ベッドの上にそっと下ろし、その柔らかな唇に俺のを重ねた。

「ん、
……… あの、
………まだ明るい、ん」

暁里が何か言おうとするが、聞きたくなくて、俺は再び暁里の口を塞ぐ。

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