仮想現実の世界から理想の女が現れた時
それから程なくして、暁里が出勤してきた。

「おはようございます!」

いつも通りの元気な挨拶がフロアに響く。

「瀬名、練習するぞ。
会議室へ来い。」

今日の訪問先は、以前、瀬名が担当したシステムが入っている会社。

今回、新たに追加するシステムを提案する予定。

俺が先方の部長役になり、練習する。


ひと通り、ロープレを終え、暁里を励ます。

「うん、大丈夫。
相手はこちらの思う通りには動かないけれど、
普段の瀬名のままで、誠実に対応して説明
すれば、このシステムの良さは分かって
もらえるから、緊張せずにリラックスして
行け。」

「はい。」

あとは、暁里の物怖じしない度胸のよさに期待しよう。


そして、期待するからには期待に応えた時のための準備がいる。

昨日の朝、俺は、営業事務にこっそり契約書類の準備を指示しておいた。

俺はそれらの書類を受け取って席を立つ。

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