仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「お願いします。」

そう言って、頭を下げる暁里の横で、俺も並んで頭を下げる。


飯田部長に連れられて、社長室に入ると、背の高い40歳前後だと思われる社長が迎えてくれた。

「はじめまして…」

と暁里は言いかけて、首を傾げた。

「じゃありませんよね?
以前、お会いしたように思うんですが…」

暁里が問うと、

「1年前まで、私は営業にいましたから。
その時、売上管理のシステムが止まった時に
来てくださった方ですよね?」

と社長が答えた。

「ああ!
そうです!
すっごくカッコいい部長さんだな…と思って
覚えてたんです。
その節はお世話になりました。」

暁里、こういう奴が好みなのか?

サービストークだと分かっていても、内心穏やかではいられない。

改めて挨拶をし、名刺交換の後、促されて社長の向かいのソファーに腰掛けた。

「私も綺麗な方だと思って覚えてたんですよ。
綺麗な女の人がパソコンを直してる姿が
カッコよく見えて、とても印象的でした。」

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