仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「は?
全然、似てないし!」

俺の言葉を聞いて暁里が憤慨する。

「初対面の人間に愛想がいいのも、話し方も
そっくりだぞ。」

言い返せないのか、暁里は話題を変えた。

「………今日は、どこに連れてって
くれるんですか?」

「山」

「山って?」

「んー、いろいろ。
着いてからのお楽しみ。」

暁里、楽しんでくれるかな?


小一時間走って、渓谷に架かる吊り橋に到着した。

「恋のつり橋?」

「そう。
高い所は平気?」

「別に苦手じゃ、ありませんよ。」

「じゃあ、行こう。」

俺は、暁里の手を握り、指を絡めて歩き出す。

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