仮想現実の世界から理想の女が現れた時
暁里は引きつった笑みを浮かべ、俺にしがみついて、元来た道を戻った。

ここは、そんなに有名な観光地ではない。

でも、ドキドキ感は満載で、公然と暁里と仲良くするには絶好のデートスポットだ。


俺たちは車に戻り、更に進んで道の駅に寄る。

そこで昼食をとり、更に山奥へと車を走らせた。

渓谷を臨みながら、深緑に囲まれた山道を行く。

すると、その先に現れる天守閣。

「こんな所にお城があったの?」

暁里が驚いて声を上げる。

「これは、城の形をしたプラネタリウム。
なんでわざわざ城の形にしたのかは不明
だけど。」


俺たちは、中に入り、並んで席に着く。

程なく上映時刻になり、暁里と手を繋いで夏の星座を眺める。


「綺麗でしたね。
でも、プラネタリウムだったら、天守閣より
西洋のお城の中の方が雰囲気が
デートっぽくて良かった気がする。」

暁里が天守閣を振り返りながら言う。

「ははっ
確かに、そっちの方が来場者は多かったかも
しれないな。」

暁里の素直な感想がかわいくて、思わず笑ってしまった。

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