仮想現実の世界から理想の女が現れた時
14時半。

「はぁ、やっと終わったぁ!」

俺は、ようやく仕事を片付けて書斎から暁里の元へと向かう。

「お疲れ様。
お茶入れますね。
コーヒーでいいですか?」

暁里がキッチンへ向かおうと立ち上がるから、俺が欲しいのは

「暁里。」

だと答えた。だけど、それだけじゃ通じるはずもなくて、呼ばれただけだと思った暁里は

「はい。」

と返事をしただけだった。

「暁里がいい。」

俺は言い直す。

「は?」

戸惑う暁里を、俺はそのまま抱きすくめる。

「悠貴さん?」

「疲れた時は、コーヒーより、暁里がいい。」

俺は暁里の頭に頬を寄せた。

「ふふ、もう…」

もう…と言いながらも、暁里は抗うことなくされるがまま俺の腕の中にいる。

「充電、できました?
そろそろコーヒー、入れてもいいですか?」

暁里がそう言うので、俺は、ようやく腕を緩めた。
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