仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「暁里、誕生日おめでとう。」

俺はグラスを掲げ、そこに暁里がグラスを合わせる。

「ありがとう。
こんな素敵な所へ連れてきてもらえると
思ってなかった。」

嬉しそうな暁里を見ると、俺も嬉しくなる。

シャンパンを一口飲んだ暁里は

「ん、これ、おいしい〜!!
いくらでも飲めそう。」

と笑顔を浮かべた。

「今日はほどほどにしとけよ。
飲み過ぎて誕生日の思い出を全部忘れる
なんて、残念すぎるからな。」

飲み過ぎてプロポーズされたことを忘れたら、洒落にならないからな。

「ふふっ
そうですよね。
今日はこの1杯でやめておきます。」

俺は、夜景を見る余裕もなく、料理を味わう余裕もなく、暁里のおしゃべりに相槌を打ちながら黙々と食べた。

最後のデザートは、暁里だけ記念日仕様にしてもらった。

Bon anniversaire

暁里の大きなお皿には、チョコレートソースでそう書かれている。
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