仮想現実の世界から理想の女が現れた時
暁里は驚いて、もともと大きな目をさらに見開いた。

「そしたら、暁里はそれを見て失恋したって
言うから、驚いた。
暁里は、顔も名前も肩書きも分からない
状態の俺に惚れてくれてたって事だろ?」

俺はワインを一口飲む。

「ちなみに、クマは、俺の子供の頃のあだ名。
『さくま』の『くま』」

「あ!!
そう言われてみたら…
あ、そっか。」

「俺は、暁里が気付いてないのをいい事に、
実はちょっとずるい誘導もいっぱいした。
だけど、俺と暁里は、出会うべくして
出会ったんだと思う。
だから、これから読み返して、怒るのは
なしな。」

散々、他人のふりして、焚きつけたもんな。

「ええ〜!?
っていうか、なんか驚き過ぎて、プロポーズの
感動がどこにもないんですけど!!」

「ごめん。
俺も、プロポーズの緊張より、正体をバラす
緊張の方が大きくて、あんまり覚えてない
かも。」

「はぁ!?」


「くくくっ
じゃあ、改めて3回目。
暁里、結婚しよう!」


「………はい!」


暁里は絶対に俺が幸せにするから。





─── Fin. ───
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