仮想現実の世界から理想の女が現れた時
そんなまっすぐな視線を向ける富田を相手に、暁里はごまかすこともできず、

「…うん。」

と肯定する。

「で?
相手は?」

加藤はなおも突っ込んでくる。

「いや、あの…」

暁里は困った表情でしどろもどろになる。

はぁ…
仕方ない。

「俺だよ!
分かったら、仕事に戻れ!
始業時刻は、とっくに過ぎてるぞ!」

俺は加藤に向かって言った。

「???

………

!!!」

一瞬の間を置いて、

「キャー!!!
おめでとうございます!
暁里さん、今夜は女子会ですよ。
いろいろ聞かせてもらいますからね!」

加藤は目をキラキラさせてそう言うと、富田と共に席に戻っていった。

ふぅ……

システム営業部のほぼ全社員が俺と暁里を交互に眺めている。

暁里は、耳まで赤くなっていたが、俺は悪い気はしなかった。

これで社内では暁里に手を出す奴はいなくなるだろ。
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