仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「空いた〜」

暁里が椅子の背もたれに思いっきり寄りかかって答える。

「じゃあ、食べに行きましょ?
それともアルコールがあった方が話し易い
ですか?」

「私、禁酒中だから。」

と暁里が苦笑いをこぼすと、加藤は振り返って俺を見た。

「部長!
暁里さんにお酒飲ませてもいいですか?」

くくっ
そうきたか。

俺は苦笑しながら時計を見て、

「場所は?」

と聞いた。

「駅前のバルでどうですか?」

「分かった。
暁里、終わったら、電話して。」

俺はいつものように暁里に声を掛けた。

「はい。」

暁里が返事をした直後、

「キャー!!
名前、呼び捨て〜」

と加藤が騒ぐ。

俺も浮かれて気が緩んでるのかもしれない。

今まで、会社で名前を呼び間違えたことはないのに。

暁里は慌てて、うるさく騒ぐ加藤と富田を引きずるように連れ出した。
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