仮想現実の世界から理想の女が現れた時
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21時半。

仕事を終えた俺は、暁里に電話をする。

が、なかなか出ない。
飲み屋だから、周りがうるさいのかもしれない。

3回ほど掛け直して、ようやく繋がった。


『もしも〜し?
悠貴さん?』

ふっ
これは結構飲んでるな。

暁里のご機嫌な様子に思わず笑みがこぼれる。

「だいぶ、ご機嫌だな。
仕事終わったから、そろそろ迎えに行くよ。」

『はーい!
お疲れ様です〜』

そう言って暁里は電話を切った。

俺は、いそいそと帰り支度をする。

「"鬼"も瀬名の前じゃ形なしですね。」

田中がチクリと嫌味を言う。

「悪いか?
もともと俺は、自分が"鬼"だなんて
思ってないし。
田中にだって優しい上司だろ?」

俺が答えると、

「こんなノルマ課しておいて、
よく言いますよ。」

と田中がわざとらしく渋い顔をする。

「ははっ
田中を信頼すればこそ、だよ。
じゃ、お先。」

俺は会社を後にして、暁里のいる店に向かう。



「暁里!」

店の奥に暁里を見つけて声を掛ける。
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