仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「営業の件、一週間やるから、考えておけ。」

「はい。」

「じゃ、仕事の話は終わり。
後は旨いもの食っとけ。」

「はい!」

俺がそう言うと、瀬名は素直にうまそうに料理を食う。

俺は、瀬名がころころとよく笑うので、つい喋り過ぎてしまった。

こういうところも、営業向きだなぁ。
客の要望を聞き出すのも上手そうだ。

「瀬名は一人暮らし、長いのか?」

「就職してからなので、4年目です。
大学は実家から通ってましたから。
あ、私、大学は名古屋なんですよ。
もしかしたら、どこかで部長ともすれ違ってた
かもしれませんね。」

「ふふっ
そういうとこだよ。」

「何がですか?」

「お前が営業向きなとこ。
関係ない話からも相手との共通点をさらっと
挟むだろ?
相手はそれでお前に親近感を持つ。
同じ品質で同じ値段だったら、知らない
親父から買うより、親しみのある綺麗な
お姉さんから買いたいと思う。」

< 23 / 227 >

この作品をシェア

pagetop