仮想現実の世界から理想の女が現れた時
カフェに入り、注文すると、瀬名は俺が出すより先に千円札を出した。

「さっき出していただいたので、ここは私が。」

ふっ

思わず笑みがこぼれる。

普通、上司に奢ってもらったからって、奢り返すか?

律儀というか、真面目というか…

「ありがとう。」

俺は素直に奢られることにした。

2人で並んで窓際のカウンターに座る。

「部長は、ご結婚されてるんですか?」

瀬名が聞いてきた。

もしかして、瀬名も俺に興味ある?

「いや。何でだ?」

「別に。年齢的にどうなのかなぁ…と思って。」

なんだ。ただの世間話か。

「瀬名は?
彼氏はいなくても、好きな奴はいるのか?」

「いません。
っていうか、いた?
自分でもよく分かんないんですよ。」

「なんだ、それ?」

「気にしないでください。
結論から言うと、『現実にはいない』ですね。」
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