仮想現実の世界から理想の女が現れた時
隣で瀬名が身じろぎをするたびに、ベッドが揺れる。

また、狼狽えて困ってるんだろう。

笑いを堪え切れなくなった俺は、諦めて目を開けた。

「くくっ
おはよう。」

「お、おはようございます。」

やはり、瀬名は困った顔をしていた。

「お前、今、パニック起こしてるだろ?」

「え? あ、はい。」

「くくっ
知りたい?」

こんな聞き方、我ながら意地悪だと思う。

「知りたい…です。」

「俺も知りたい。
気をつけないと食われるぞ…って注意したにも
関わらず、あんなに酔っ払って記憶をなくした
理由を。」

「えっと、あの、女子会が楽しくて…
気付いたら、記憶がなくて…
あの…
ごめんなさい…」

あ、ダメだ。
瀬名が何を言ってもかわいく見える。

「じゃあ、お前は、俺に食われてても文句は
ないという事でいいんだな?」

「!!!
それはっ!!!」

< 44 / 227 >

この作品をシェア

pagetop