仮想現実の世界から理想の女が現れた時
瀬名が焦る様を十分に堪能した俺は、思わず吹き出した。

「ぷっ
ないよ。何もない。
お前ん家に送ってったけど、鞄を探しても鍵が
見つからなかったから、俺ん家に連れて
帰ってきた。」

「ほっ…」

「ほっとするくらいなら、あんなに飲むな。
3度目は、ほんとに食うぞ。」

俺がそう言うと、瀬名は分かりやすくうなだれる。

「さて、着替えて、送ってやるか。」

俺の言葉に、瀬名は目を輝かせた。

「ありがとうございます。」

ほんと、分かりやすい奴。

「それより、鍵、あるか?」

「はい。」

瀬名は起き上がり、バッグから化粧ポーチを出すと、その中から鍵を取り出した。

「はぁ………
そんな中に入ってたのか。
まぁ、いい。
お前、どうせ、暇だろ?
今日、東京見物付き合え。」

「え!?」

瀬名が驚いた顔をする。

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