仮想現実の世界から理想の女が現れた時
しばらくして、瀬名は玄関のドアを開け、

「お待たせしました。どうぞ。」

と、部屋に入れてくれた。

当然、洗濯物は片付けられている。

「支度をしてくるので、のんびり待ってて
くださいね。」

そう言って、瀬名は化粧直しのために洗面所に向かった…んだと思ってた。

なのに、聞こえてくるのは、シャワーの音。

あいつは、バカなのか?

シャワーを浴びてるところを想像するだけで欲情する男もいることを知らないのか?

「お待たせしました。」

身支度を整えた瀬名は、すっきりした顔で戻ってきた。

俺は、呆れて物も言えず、憮然としていると、空気を察した瀬名がおずおずと尋ねる。

「あの、どうかしました?」

「………………」

「待たせ過ぎました?
すみません…」

そういう問題じゃないだろ。

「瀬名、お前、どういうつもりだ。」

「何がですか?」

「彼氏でもない男を部屋に入れるだけでも
危ないのに、シャワーを浴びるなんて、
どういう事だって聞いてる。」
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