仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「あっ………
あの、部長なら、大丈夫かなぁ…と思って…」

「その根拠は?」

「いえ、あの、昨日も何もありませんでしたし、
部長なら私なんか相手にしなくてもいくら
でも喜んで寄ってくる方がたくさん
いらっしゃるでしょうから…」

はぁ…
こいつ、やっぱり分かってない。


俺が立ち上がり、一歩踏み出すと、瀬名は壁を背に逃げ場をなくした。

俺はそのまま手首を掴んで引き寄せ、抱き締める。

「いい加減、気付け。
お前は女だ。
何かあってからじゃ、遅いんだ。
このままじゃ、心配で目が離せない。」

無理矢理、抱きしめてるのに、瀬名はなぜか逃げようとも抗おうともしない。

「ごめんなさい…」

腕の中から、瀬名の囁くような声が聞こえた。

ふぅぅっ

思わずため息が漏れる。

これは、怖すぎて逃げることもままならないってことか。

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