仮想現実の世界から理想の女が現れた時
俺がイラついてるのにも気付かず、瀬名は席を立った。

トイレか?

だけど、瀬名は戻って来ない。

石原に呼び止められて、もともと上村が座ってた席に腰を下ろしてしまった。

石原め。

すると、上村は当然のように瀬名の席に座る。

「部長、お若そうに見えますけど、おいくつ
なんですか?」

「31だけど。」

「私と3つ違いなんですね。
ご結婚はされてるんですか?」

「いや。」

鼻にかかった声がカンに触る。
不必要に俺に触れてくるのも鬱陶しい。

上村を見たくなくて視線を上げると、瀬名が石原と楽しそうにしてるのが目に入る。

なんだよ。
愛想がいいのは知ってるが、酒の席でそんなに無防備に他の男と話すなよ。

俺の中で、新人2人に対してイライラが募っていく。

俺が当たり障りなく上村の質問に答えているうちに、瀬名は酔いが回ってきたのか、石原が距離を詰めていることにも気付かず、楽しげに談笑している。

限界だな。

瀬名が?
それとも俺が?

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