仮想現実の世界から理想の女が現れた時
暁里と田中とちょっと石原
7月30日(月)

いつも通り、早朝の閑散としたオフィスに暁里が出勤してくる。

「おはようございます。」

普段通りの無駄に明るい挨拶。

「おはよう。」

俺は努めて平静に答える。
絶対にここで頬を緩めてはいけない。

暁里もいつも通り、仕事を始めた。

30分程して、石原が出勤してきた。

「瀬名さん、おはようございます。」

なぜか暁里の席に寄って挨拶をする。

「おはようございます。」

暁里が挨拶を返すと、石原は、

「どうぞ。」

と缶コーヒーを置いていった。

「え? あの、石原さん?」

暁里が呼び止めるけれど、

「プレゼントです。
もらってください。」

と笑顔を見せて何事もなかったかのように自席へと向かう。

こいつ、金曜の夜から、あからさまに暁里を口説いてたな。

酒の席だけじゃないってことは、本気で口説きにきてるってことか?

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