ラブパッション
周防さんが、右足を引いて回れ右をして、私に正面から向き合ってくれる。
おずおずと顔を上げると、彼はわかりやすく苦い顔をして、私を見下ろしていた。
「ったく」
私から微妙に目線を外して、溜め息混じりに呟く。
「本当に君は危なっかしい。まさか、俺みたいな悪い男に引っかかるとは」
自嘲気味な言い方に、私はきゅっと口を噤んだ。
「……だから、いっそ他の男のものになってくれれば。本気でそう思ってたのに」
忌々し気に吐き捨てるのに、彼はなぜかとても苦し気に顔を歪め、私から背けてしまう。
こんなところにも、私との間に一線置きながらも、思わせぶりに誘惑してきた周防さんの言動の矛盾が浮き上がる。
そして私は、そんな彼に身も心も支配される。
意思に反して鼓動が加速する。
臨界点を超えて高鳴り、全身がふわふわするほどの熱に浮かされる。
私をこんな風にするのは、周防さんしかいない――。
「大丈夫。周防さんに、心は求めませんから」
喉に声をつっかからせながらそう言って、私はぎこちなく微笑んでみせた。
周防さんは手で口元を覆い、怪訝そうな瞳を私に向けてくる。
おずおずと顔を上げると、彼はわかりやすく苦い顔をして、私を見下ろしていた。
「ったく」
私から微妙に目線を外して、溜め息混じりに呟く。
「本当に君は危なっかしい。まさか、俺みたいな悪い男に引っかかるとは」
自嘲気味な言い方に、私はきゅっと口を噤んだ。
「……だから、いっそ他の男のものになってくれれば。本気でそう思ってたのに」
忌々し気に吐き捨てるのに、彼はなぜかとても苦し気に顔を歪め、私から背けてしまう。
こんなところにも、私との間に一線置きながらも、思わせぶりに誘惑してきた周防さんの言動の矛盾が浮き上がる。
そして私は、そんな彼に身も心も支配される。
意思に反して鼓動が加速する。
臨界点を超えて高鳴り、全身がふわふわするほどの熱に浮かされる。
私をこんな風にするのは、周防さんしかいない――。
「大丈夫。周防さんに、心は求めませんから」
喉に声をつっかからせながらそう言って、私はぎこちなく微笑んでみせた。
周防さんは手で口元を覆い、怪訝そうな瞳を私に向けてくる。