ラブパッション
「っ……」
最初にそう言って脅したのは私なのに、彼の口から言われると胸が抉られるように痛んだ。
抱きしめられたままじゃ苦しくて、腕の力を緩めてもらおうとして、そっと両手をかけた。
「すお……」
彼の胸から顔を上げ、無意識に呼びかけると。
「夏帆」
周防さんが、私を名前で呼んだ。
思わずドキッとして、胸を弾ませてしまう私に、彼が覗き込むように顔を寄せてくる。
そして、大きく目を見開いたままの私の唇を、いとも容易く奪った。
「んっ……」
優しくて穏やかで女性社員の憧れの的。
誰もが絶賛する、文句なしに頼れる上司――。
きっと周防さんは、私に幻滅させるために、強引に乱暴に仕掛けてるつもりだろう。
理性のタガを外して私に浴びせるキスは、確かにどこか暴力的なのに、熱くてとびきり甘い。
まるで誘われるように舌を出し、激しく絡め合っていると、迸る情熱の奔流に飲み込まれ、見知らぬ世界に吸い込まれていくようだった。
幻滅、なんてできっこない。
だって私は、なりふり構わず、周防さんへの恋に飛び込んでしまった。
この恋心の行き着く先に、いったいなにが待っているか、わからないまま――。
周防さんとの激しいキスに溺れる私は、そんなことを考える余裕も失っていた。
最初にそう言って脅したのは私なのに、彼の口から言われると胸が抉られるように痛んだ。
抱きしめられたままじゃ苦しくて、腕の力を緩めてもらおうとして、そっと両手をかけた。
「すお……」
彼の胸から顔を上げ、無意識に呼びかけると。
「夏帆」
周防さんが、私を名前で呼んだ。
思わずドキッとして、胸を弾ませてしまう私に、彼が覗き込むように顔を寄せてくる。
そして、大きく目を見開いたままの私の唇を、いとも容易く奪った。
「んっ……」
優しくて穏やかで女性社員の憧れの的。
誰もが絶賛する、文句なしに頼れる上司――。
きっと周防さんは、私に幻滅させるために、強引に乱暴に仕掛けてるつもりだろう。
理性のタガを外して私に浴びせるキスは、確かにどこか暴力的なのに、熱くてとびきり甘い。
まるで誘われるように舌を出し、激しく絡め合っていると、迸る情熱の奔流に飲み込まれ、見知らぬ世界に吸い込まれていくようだった。
幻滅、なんてできっこない。
だって私は、なりふり構わず、周防さんへの恋に飛び込んでしまった。
この恋心の行き着く先に、いったいなにが待っているか、わからないまま――。
周防さんとの激しいキスに溺れる私は、そんなことを考える余裕も失っていた。