ラブパッション
「え……。一億」
海外営業部だけで、年間一億。
凄いのはわかるけど、凄すぎていまいちピンとこない。
「二年前から、周防さんが新規取引仕掛けてた先なんだ。まだ日本で取り扱いがないメーカーだけど、海外じゃ評判いいから」
長瀬さんは無意味にカチカチとマウスをクリックしながら、まるで独り言のように続ける。
「うちとしては、国内単独取引を狙って交渉してたんだけど、相手がなかなか頷かなくてね。それがここにきて一気に進展。……周防さん、最近特に忙しそうだったのに、いつ営業かけてたんだろ」
長瀬さんが、どこかぼんやりと溜め息をついた。
「さすがですね……」
他にどう答えていいかわからずに、私は感嘆して吐息を漏らした。
すごいな、優さん。
やっぱりすごくカッコいい。
なぜだか誇らしい気分になって、私の頬の筋肉は緩んでしまう。
無意識に「ふふっ」と笑っていた自分に気付き、慌てて仕事に戻ろうとする。
メールの続きを綴ろうとしてキーボードに指を走らせたものの、横顔に刺さるような視線を感じる。
「……あの?」
憚ることなく不躾に見つめられて落ち着かず、顔を上げた。
海外営業部だけで、年間一億。
凄いのはわかるけど、凄すぎていまいちピンとこない。
「二年前から、周防さんが新規取引仕掛けてた先なんだ。まだ日本で取り扱いがないメーカーだけど、海外じゃ評判いいから」
長瀬さんは無意味にカチカチとマウスをクリックしながら、まるで独り言のように続ける。
「うちとしては、国内単独取引を狙って交渉してたんだけど、相手がなかなか頷かなくてね。それがここにきて一気に進展。……周防さん、最近特に忙しそうだったのに、いつ営業かけてたんだろ」
長瀬さんが、どこかぼんやりと溜め息をついた。
「さすがですね……」
他にどう答えていいかわからずに、私は感嘆して吐息を漏らした。
すごいな、優さん。
やっぱりすごくカッコいい。
なぜだか誇らしい気分になって、私の頬の筋肉は緩んでしまう。
無意識に「ふふっ」と笑っていた自分に気付き、慌てて仕事に戻ろうとする。
メールの続きを綴ろうとしてキーボードに指を走らせたものの、横顔に刺さるような視線を感じる。
「……あの?」
憚ることなく不躾に見つめられて落ち着かず、顔を上げた。