ラブパッション
「あの。玲子さんのお仕事……インテリアの写真、拝見しました」


思い切って切り出すと、玲子さんはピクリと眉を動かして反応する。


「すごく暖かくて素敵で。憧れました」


素直に告げると、彼女が嬉しそうに微笑む。


「そう? ありがとう。私はこれまでの仕事に自信持ってるから、嬉しいわ」


仕事の話題は、成功だったのかもしれない。
玲子さんが機嫌よく返してくれたから、私はこの話題に縋って、その先を続けてしまった。


「ご自宅のマンションも、玲子さんのデザインなんですか?」

「……え?」


玲子さんが、一瞬表情を曇らせた。
それを見て、私はハッとして口を噤む。


「あ……えっと。すみません。出過ぎた質問を……」


ただの部下なのに、立ち入り過ぎた。
でも、今さら撤回するのも不自然な気がして、恐縮しきって縮こまる。


「ああ、いいのよ。自宅……そうなんだけどね」


玲子さんはフォークを動かす手を止め、左手でぼんやりと頬杖をついた。


「あれは、今までで最高の失敗作」


私から目線を外して、どこか自嘲気味に呟く玲子さんに戸惑う。


「失敗作、って……」


彼女の言葉の意味を図って、私は声を尻すぼみにした。
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