ラブパッション
制御不能な恋心
本社ビルまで、大通りを並んで歩く。
玲子さんがなぜ突然私を訪ねてきたか。
その理由が察せたから、さっきから嫌な鼓動が治まらない。
背後から優さんの険しい横顔を窺いながら、竦み上がりそうだった。
謝らなきゃ、と思うのに、謝ってしまったら、『玲子さんに知られてしまった』事実を、彼との間で確認し合うことになる。
そうしたら、優さんはどんな決断を下すか……。
私は、『もう終わりにしよう』と言われることを恐れていた。
優さんに心を求めないと言ったのは私なのに、今、崖っぷちに追い込まれても、まだ彼への恋心に縋っている。
結局私は、優さんに声をかけることもできずに、足元ばかり見ていた。
「……夏帆」
一歩前を歩いていた優さんが、まっすぐ前を向いたままポツリと私を呼んだ。
「ごめんな」
少し硬い謝罪にドキッとしてから、私はおずおずと顔を上げる。
「どうして、優さんが謝るんですか?」
怖々と訊ねる私の前で、彼は両足を揃えて立ち止まった。
「玲子が、迷惑かけたろ?」
「なんで。そうじゃなくて、私がっ……!」
謝らなきゃいけないのは私の方なのに。
逆に謝られて思わず声を荒らげてしまい、私はハッとして言葉をのみ込んだ。
玲子さんがなぜ突然私を訪ねてきたか。
その理由が察せたから、さっきから嫌な鼓動が治まらない。
背後から優さんの険しい横顔を窺いながら、竦み上がりそうだった。
謝らなきゃ、と思うのに、謝ってしまったら、『玲子さんに知られてしまった』事実を、彼との間で確認し合うことになる。
そうしたら、優さんはどんな決断を下すか……。
私は、『もう終わりにしよう』と言われることを恐れていた。
優さんに心を求めないと言ったのは私なのに、今、崖っぷちに追い込まれても、まだ彼への恋心に縋っている。
結局私は、優さんに声をかけることもできずに、足元ばかり見ていた。
「……夏帆」
一歩前を歩いていた優さんが、まっすぐ前を向いたままポツリと私を呼んだ。
「ごめんな」
少し硬い謝罪にドキッとしてから、私はおずおずと顔を上げる。
「どうして、優さんが謝るんですか?」
怖々と訊ねる私の前で、彼は両足を揃えて立ち止まった。
「玲子が、迷惑かけたろ?」
「なんで。そうじゃなくて、私がっ……!」
謝らなきゃいけないのは私の方なのに。
逆に謝られて思わず声を荒らげてしまい、私はハッとして言葉をのみ込んだ。