ラブパッション
「君に話した通り、あの後俺と玲子は、夫婦になってから初めて向き合えた。玲子の本心も聞けた。彼女は……俺に言ったよ。『彼の代わりじゃなく、結婚したからには、ちゃんと愛してほしかった』って」
やや低められた彼の声を耳にして、私は膝の上で両手を握りしめた。
「俺が玲子を、『親友』じゃなく妻として愛していたら、こんな結果にはならなかった。『だって私は、ちゃんとあなたを愛してるつもりでいたから』って。……でも、今となっては錯覚だったかもしれない、とも言っていた」
「……錯覚?」
その言葉が引っかかって、私は恐る恐る口を挟む。
優さんは手元に視線を落とし、「ああ」と頷いた。
「隠しもせずに瀬名と付き合っていたのは、初めは俺への当てつけだった。でも、瀬名との関係を続けるうちに、玲子は身体だけじゃなく心も満たされていった。……まあ、そういうのを素直に認めて、瀬名に言ってやるような女じゃないんだけど」
ずっと硬い表情をしていた優さんが、口元にわずかな苦笑を浮かべた。
「俺と夏帆の関係に勘付いて、君を探りに来て……。玲子は、君を心底から羨ましいと思ったそうだよ」
「え? わ、私を?」
彼の言葉にギョッとして、私は上擦った声で聞き返した。
なぜだかわからないから、胸には困惑が広がる。
やや低められた彼の声を耳にして、私は膝の上で両手を握りしめた。
「俺が玲子を、『親友』じゃなく妻として愛していたら、こんな結果にはならなかった。『だって私は、ちゃんとあなたを愛してるつもりでいたから』って。……でも、今となっては錯覚だったかもしれない、とも言っていた」
「……錯覚?」
その言葉が引っかかって、私は恐る恐る口を挟む。
優さんは手元に視線を落とし、「ああ」と頷いた。
「隠しもせずに瀬名と付き合っていたのは、初めは俺への当てつけだった。でも、瀬名との関係を続けるうちに、玲子は身体だけじゃなく心も満たされていった。……まあ、そういうのを素直に認めて、瀬名に言ってやるような女じゃないんだけど」
ずっと硬い表情をしていた優さんが、口元にわずかな苦笑を浮かべた。
「俺と夏帆の関係に勘付いて、君を探りに来て……。玲子は、君を心底から羨ましいと思ったそうだよ」
「え? わ、私を?」
彼の言葉にギョッとして、私は上擦った声で聞き返した。
なぜだかわからないから、胸には困惑が広がる。