ラブパッション
やや朱に染まった目元に、大人の男の色香を存分にけぶらせて、私に返事を求めてくる。


「ゆ、たかさんだって。……やっぱり、小悪魔です」


ちょっと悔し紛れにそう呟くと、彼がフフッと笑った。


「いいコンビだろ」


おどけて私の反応を探りながら、ゆっくり顔を近付けてくる。


「キス、していい?」


鼻先を掠めるところまで近付いて、私の意思を確認する彼に。


「は、い」


私は、喉に声を引っかからせながら、返事をした。


「私も、優さんが好きです。ずっとずっと……こうやって言いたかった……」


再び鼻の奥の方がツンとするのを感じながら、とめどなく溢れる想いを伝える。
優さんも「ん」と短く頷いた。
そして……。


「これからは、遠慮なく言って。何度でも聞くし、何度でも応えるから」


誘うような、導くような言葉を最後に、優さんと私の唇が重なった。
最初は、感触を思い出そうとするみたいに、しっとりと柔らかく押し当てて。
せり上がってくる熱情を抑えて、ゆっくりと唇を食み。
お互いの欲情に火が点いたら、もう止められない。


「ふ、うん……っ……」


鼻から抜ける声を漏らしながら、求めて求められ、激しく舌を纏わりつかせて絡め合う。
深く繋がるようなキスは、私と優さんの身体の芯を熱くじんわりと燻らせ、恋情を滾らせていき――。
< 220 / 250 >

この作品をシェア

pagetop