ラブパッション
独り寝には贅沢なセミダブルベッドの真ん中。
仰向けに横たわった裸の私を、カーテンの隙間から覗く、夏の三日月の細い月光を背に浴びた優さんが、切なげに細めた目で見下ろしている。


青白く浮き上がる、引きしまった綺麗な身体。
彼はわずかに上体を屈めて私の唇にキスを落とすと、柔らかい唇を下に這わせ、おとがいに、喉に、そして鎖骨へと移動していく。


「あ……」


彼のサラサラの前髪が胸を掠め、思わず吐息交じりの甘い声を漏らしてしまった。
それを聞き拾った優さんが、クスッと笑う。
彼の息が胸の一番敏感なところをくすぐり、そんな些細な感触にすら、私はビクンと背を撓らせてしまう。


「この程度でも、感じる?」


優さんはからかうように呟き、私の胸元から上目遣いに探ってくる。


「う、あ……」


顎を引いて目を合わせると、彼はまるで私に見せつけるように赤い舌先を出し、吐息の刺激に震えるそこをペロッと舐める。
薄い唇で咥え、わざと音を立てて吸い上げる。


「んっ! や、あ、ああっ……」


視覚と聴覚、そして触覚……すべてが甘い痺れとなり、私の背筋をゾクゾクと駆け抜ける。
ビクンビクンと身体を痙攣させる私を、優さんは意地悪に目を細めて観察している。
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