ラブパッション
週が明けて迎えた月曜日。
長瀬さんは、朝から外出尽くし。
仕事を持ち帰って私に託す時も、目線を合わせてはくれない。
気まずくて、明らかに避けられている、わかりやすい空気。
そんな状態のまま終業時刻を迎え、今日一日ほとんど長瀬さん不在だったデスクを見て、肩を落として溜め息をつく。
一時間ほど前に外出した彼は、このまま直帰予定でもうオフィスには戻ってこない。
私も今日は声をかけるのを諦めて、帰り支度を始めた。
明日はなんとか捕まえられるだろうか……。
朝からの長瀬さんの予定を脳裏に描きながら、地上のエントランスに降りた。
ずっと伏し目がちに歩いていたら、前から来た人とぶつかりそうになって、慌てて顔を上げる。
「すみません」
反射的に謝り、一度ふうっと息を吐いた。
なんとか気を取り直して一歩踏み出そうとして……。
「あ……!」
「っ、夏帆ちゃん」
前方から歩いてくる長瀬さんに気付き、私は声をあげた。
彼もほとんど同じタイミングで、ギクッとしたように足を止める。
私の名を口にしたまま気まずそうに顔を背け、目線を泳がせてしまう彼に、私は思い切って大きな歩幅で歩み寄った。
「長瀬さん、お疲れ様です」
彼の前でピタリと足を止める。
長瀬さんは、「あ~、うん」とどこか歯切れ悪く返して、口元を手で隠してしまう。
「直帰予定だったのに。なにかありましたか?」
長瀬さんは、朝から外出尽くし。
仕事を持ち帰って私に託す時も、目線を合わせてはくれない。
気まずくて、明らかに避けられている、わかりやすい空気。
そんな状態のまま終業時刻を迎え、今日一日ほとんど長瀬さん不在だったデスクを見て、肩を落として溜め息をつく。
一時間ほど前に外出した彼は、このまま直帰予定でもうオフィスには戻ってこない。
私も今日は声をかけるのを諦めて、帰り支度を始めた。
明日はなんとか捕まえられるだろうか……。
朝からの長瀬さんの予定を脳裏に描きながら、地上のエントランスに降りた。
ずっと伏し目がちに歩いていたら、前から来た人とぶつかりそうになって、慌てて顔を上げる。
「すみません」
反射的に謝り、一度ふうっと息を吐いた。
なんとか気を取り直して一歩踏み出そうとして……。
「あ……!」
「っ、夏帆ちゃん」
前方から歩いてくる長瀬さんに気付き、私は声をあげた。
彼もほとんど同じタイミングで、ギクッとしたように足を止める。
私の名を口にしたまま気まずそうに顔を背け、目線を泳がせてしまう彼に、私は思い切って大きな歩幅で歩み寄った。
「長瀬さん、お疲れ様です」
彼の前でピタリと足を止める。
長瀬さんは、「あ~、うん」とどこか歯切れ悪く返して、口元を手で隠してしまう。
「直帰予定だったのに。なにかありましたか?」