ラブパッション
「周防さん、って。人気あるんだね」
名前を口するだけで、ドキドキする自分がいる。
そんなつもりじゃないのに、二人に周防さんのことを探るような口調になってしまった。
「そうだよ。なんせ『結婚したい男、No.1』だから」
「は?」
ニヤッと笑う菊乃に、私は反射的に聞き返した。
「今年七年目の二十九歳。まだ若いのに、落ち着いてて大人っぽくて、部下の面倒見もよく優しい。仕事は完璧で、上司の覚えも目出度いエリート。その上イケメン。生涯の伴侶として申し分ないじゃない」
指折り数え上げるうちに勢いづく菊乃に、笹谷君が「はは」と乾いた笑い声をあげた。
「まあ、いちいちその通りだけどね」
「ほら。男の笹谷もそう言うんだから。『結婚したい男No.1』って評価もわかるでしょ?」
菊乃の妙な迫力に押されて、私は「うん」と同意したものの……。
「なあに? 夏帆は、そう思えない?」
「ま、まだよくわからないけど……」
話を合わせようとして言い淀み、首を傾げる。
「『恋人』じゃなくて、『結婚』? それって、彼女がいるから、とか……?」
窺うように、声が尻すぼみになる。
名前を口するだけで、ドキドキする自分がいる。
そんなつもりじゃないのに、二人に周防さんのことを探るような口調になってしまった。
「そうだよ。なんせ『結婚したい男、No.1』だから」
「は?」
ニヤッと笑う菊乃に、私は反射的に聞き返した。
「今年七年目の二十九歳。まだ若いのに、落ち着いてて大人っぽくて、部下の面倒見もよく優しい。仕事は完璧で、上司の覚えも目出度いエリート。その上イケメン。生涯の伴侶として申し分ないじゃない」
指折り数え上げるうちに勢いづく菊乃に、笹谷君が「はは」と乾いた笑い声をあげた。
「まあ、いちいちその通りだけどね」
「ほら。男の笹谷もそう言うんだから。『結婚したい男No.1』って評価もわかるでしょ?」
菊乃の妙な迫力に押されて、私は「うん」と同意したものの……。
「なあに? 夏帆は、そう思えない?」
「ま、まだよくわからないけど……」
話を合わせようとして言い淀み、首を傾げる。
「『恋人』じゃなくて、『結婚』? それって、彼女がいるから、とか……?」
窺うように、声が尻すぼみになる。