ラブパッション
笹谷君が、ちらりと私に目線を上げた。
「そこは、ほら。周防さん、結婚してるし」
「……えっ!?」
当たり前のように告げられた言葉に、激しく反応してしまった。
二人に目を丸くされて、慌てて俯く。
「ご、ごめん。変な声あげて」
とっさに言い繕ったけど、心臓が早鐘のように打ち始める。
息苦しさすら感じて、私は無意識に胸元に手を当てた。
「笹谷が言う通り。そこが、唯一ネックなんだよね」
菊乃がボヤくように呟き、頬杖をつく。
「けど、噂じゃ、あんまり上手くいってないみたいだよ?」
なにか考えるように目線を上に向ける彼女を、私はゴクッと喉を鳴らして見つめてしまった。
「奥さん、インテリアデザイナーで、家にいないことが多いんだとか。結婚して三年経つけど、子供もいないしね」
自分で納得するように『うんうん』と頷く菊乃に、笹谷君が眉をひそめた。
「子供って。それはいろいろ事情もあるんだろ? それを理由に、他人が興味本位で不仲だとか言っちゃいけない」
「それはそうだけどさ」
常識的に咎める笹谷君に、菊乃がひょいと肩を竦める。
そんな二人のやり取りは、私の意識から遠のいていく。
「そこは、ほら。周防さん、結婚してるし」
「……えっ!?」
当たり前のように告げられた言葉に、激しく反応してしまった。
二人に目を丸くされて、慌てて俯く。
「ご、ごめん。変な声あげて」
とっさに言い繕ったけど、心臓が早鐘のように打ち始める。
息苦しさすら感じて、私は無意識に胸元に手を当てた。
「笹谷が言う通り。そこが、唯一ネックなんだよね」
菊乃がボヤくように呟き、頬杖をつく。
「けど、噂じゃ、あんまり上手くいってないみたいだよ?」
なにか考えるように目線を上に向ける彼女を、私はゴクッと喉を鳴らして見つめてしまった。
「奥さん、インテリアデザイナーで、家にいないことが多いんだとか。結婚して三年経つけど、子供もいないしね」
自分で納得するように『うんうん』と頷く菊乃に、笹谷君が眉をひそめた。
「子供って。それはいろいろ事情もあるんだろ? それを理由に、他人が興味本位で不仲だとか言っちゃいけない」
「それはそうだけどさ」
常識的に咎める笹谷君に、菊乃がひょいと肩を竦める。
そんな二人のやり取りは、私の意識から遠のいていく。